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拍手する 2009.11.05 Thursday * | - | - | -
* 大人の恋愛。
小説家になろうに、書き途中の作品がモリモリ溜まっています。
ここで公開中の「ユーレーロミオに恋するジュリエット」「神様がくれた」。ここにのみ公開してる短編、あとはなろうから削除した短編のコピーとで、41作品溜まってる(笑)

整頓しようと思ってこの前から執筆中小説をのぞきまくってます。
そんで、5分のやつの別バージョンも見つけたんだけど。

また見つけてきた。

「空に落ちる」のあと、大人の恋愛が書きたいーーー!と思って書き出して、速攻で飽きました(ーー;
続きは99%書きませんが、もったいないからここに置いておこうと思います。

興味ある方はどうぞです。

↓↓↓
deep forest


 私はどこから道を踏み誤ったのだろう。
 振り返った道の向こうにあるのは、霧のかかった夜の闇だけ。
「あんたは恋愛をしてないよ」

――独り相撲をしてるだけ。

「自分の都合を押し付けるだけしか出来ないなら、あんた、この先ずっと独りぼっちだよ」

――わかってる。この気持ちは。

 深い森の中を歩いているかのようだった。
 隣にいる人は顔の見えない、黒い影。
 手を繋がれ、その手に引かれ、ただ、ついていくだけ。
 深いほうへ、深いほうへと――。


 むせ返るような緑の芳香。
 光を通さない葉の群れ。
 湿った大地に、足は沈み込んでいく。

 歩いて、歩いて。


 見えたものは。


――見えるものは。


 ***

「悪い。伝票、渡し忘れた」
「またですか」
 向かいの席に座る男の顔も見ずに、私は低い声だけを返した。営業事務を務めて五年。短大を卒業してからずっと続けてきたこの仕事。それなりに仕事をこなし、それなりに周りに認められ、それなりに生きてきた。
「またって、そんなしょっちゅうじゃねえよ」
 向かいに座るこの色白の男は営業マンで、私は彼のサポートも行っている。
 営業なんて数字取れればいい、なんて考えのこのバカは、いつもいつも営業先からもらった伝票を提出し忘れ、決済の日に私の怒りを買うのだ。
「こういうの、困るんですよ。私一人で伝票何枚さばいてると思ってるんですか。伝票出た時点ですぐに渡してください。何度も同じこと、言わせないでくださいよ」
 ひったくるように伝票を受け取ると、目の前の男はあからさまに舌打ちを打って、私に聞こえる大きさの声で「かわいくねえ女」とつぶやいた。
「よく言われます」
「だろうな」
「嫌味な男ですね」
「よく言われるよ」
「だと思いました」

 けたけたと気持ち悪い笑い声をあげて、彼は自分のデスクに座り直す。
 私はまたパソコンに向かい、伝票をパラパラとめくった。今日は残業で確定だ。彼氏には会えないかもしれない。
 ため息をついて、数字の羅列を目で追う。

 ……ため息をつくごとに幸せは逃げるというけど。そうなのかもしれない。




 五ヶ月前に付き合いだした彼氏は、合コンで知り合った人で、泰介(たいすけ)という。
 お互い恋人もいなかったし、何回か食事をして気も合ったから「つきあってみようか」という話になった。
 それなりに仲良くやってるし、それなりにお互い好きあってる。……でも、「それなり」でしかない。
 泰介のことを「好き?」と聞かれたら「好き」と答えるだろう。でも「大好き?」と聞かれたら、「そこまでは」と答える気がする。
 それじゃあなんで付き合いだしたか、なんて聞かれたら、答えなんてひとつだ。

「お互い誰とも付き合ってなかったから」

 恋愛の始まりなんて、そんなものでいいのだと思う。一緒にいる時間が長くなればなるほど、絆も深まって、ちゃんと『恋愛』になっていく。
 恋愛の過程はいつだって単純だ。
 付き合い始めて、デートして、キスをして、セックスをする。以上。


 時折、怖くなる。
 十代だった頃の恋愛は、こんなんじゃなかった。
 胸を焦がすような恋心を抱えて、死ぬんじゃないかと意気込んで告白して、キスをするにもドキドキして、セックスなんて、考えただけで卒倒しそうだった。
 いつからだったのだろう。
 誰かが隣にいることが当たり前になって、誰もいないことが怖くなったのは。

 私の、恋愛は。


 きっとどこかで、道を踏み誤ったのだ。


***


 仕事を家に持ち帰るのは好きじゃない。だから、すべて会社で終わらせる。残業続きの日々は、自分自身の能率の悪さを示すと共に、私に課せられた仕事量の多さを物語る。

 ため息だけが零れ落ちる。
 駅から家までの十五分の道のり。デスクワークでなまった体を少しでも鍛えるために、毎日しっかり歩いてる。
 重くなった足を前に出すたび、ふと空を見上げて、何度も何度もため息をもらす。
 空は濃紺に染まり、いつもは見える星も、雲に隠れて一つも見えない。光るのは月だけ。まわりを白くぼやかせて、ただひとつ、ぽつんと。
 私のアパートは、虫の声さえ聞こえないような閑静な住宅街の一角にある。
 新興住宅街っていうのは、どうも好きになれない。微妙な距離感を抱えた人間達は、過剰なまでに隣近所の存在に反応する。やれテレビがうるさいだの、子どもの声がやかましいだの、犬は外で飼うなだの……。そのせいなのか、閉め切った窓から音は一切漏れず、まるでゴーストタウンのようだ。
 今、生きてここに存在するのは、私だけのような……。
 バッグの底で震えるケータイの音に気付いて、慌ててバッグを開く。静かすぎるこの場所では、バイブ機能のみとはいっても騒音に聞こえてくるのだ。

「もしもし」
 ディスプレイに並んだ文字に安心して、声をゆるめた。泰介だ。
『今、帰り?』
 電話の向こうののんびりした声。おそらくは家でくつろぎながら、ビールでも飲んでいるのだろう。
「うん」
『もう日またいでるぞ。働きすぎ』
「わかってる」

 腕時計を見る。0時二分。明日も六時起きなのに……私はなにをこんなにがむしゃらに働いてるんだろう。急にすべてがばかばかしく思えてくる。

『気をつけて帰れよ』
「うん」
 電話を切って、またため息をついた。泰介はのんびり屋で、優しい。どんぐりみたいな目をしていて、いつもニコニコしてる。物静かで聞き上手で、少し心配性なところもあるけど、いつも私に気を使ってくれる。
 そんな泰介を「大好き」と言えない私は、なんて愚か者なんだ。
「でも……」
 恋は本能でするものだ。どんなに素敵な人でも、けしてなびかないことだってある。私が泰介を本気で愛せないのは、きっと本能の部分が、まだ彼に心を開いてないからだ。



―‐―‐―‐―

おまけ。

夏ホラー2008に出ようと思ってたときに、出だしだけ書いて飽きたやつ。




 そよぐ風に乗って、波のようにうねる稲。青々と伸びた葉が音を奏でる。夏を呼び寄せる蝉の声が耳をくすぐり、熱い太陽光線が彼女の体を焦がす。
 ふと空を仰いだその時、彼女の体がゾリゾリと疼いた。左手が軋んだ音を立てる。引き裂かれる、悲鳴のような音。皮膚の下を蟻が走っていくような、違和感。浮き出た血管を指でいじった時に右へ左へと動く、それと同じ動きを勝手にする血管。
 ミシミシと振動する。
 手の甲から溢れ出る生命は、彼女の体を苗床にして、猛る。




飽きるの早っ!!
 
拍手する 2008.12.03 Wednesday * 02:12 | 短編小説(ブログのみ公開) | comments(0) | trackbacks(0)
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拍手する 2009.11.05 Thursday * 02:12 | - | - | -
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