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拍手する 2009.11.05 Thursday * | - | - | -
* 海の音〜5話目
海の音、君の声(仮)5話目執筆。

久々にこちらの作品に手をかけました。
大まかな話の流れは決まったので、あとは繋ぎのお話を考えてスムーズに流れるようにしていくだけです!

一応、恋愛ジャンルで行く予定だけど、本筋の内容はどう考えても恋愛じゃない(--;
恋愛の皮かぶせたエセ文学まんじゅう的な!


初稿さわりのみの公開ですー。

ダメだし大歓迎!!

↓↓↓

  お湯の中でとろけそうになりながら、実由ははりのある体をなでた。べとついた汗は洗い流され、本来のみずみずしさを取り戻す。
 ふ、とため息をついて、これから先のことを考える。
 この家にお世話になっていいのだろうか。よぎるのは、厚志の優しい笑顔。
 目にかかるくらいのこげ茶の髪は、日に焼けて少し痛んでいた。浅黒い日焼けした肌は、その辺にたむろしているナンパな男を連想させるけれど、子供のようなくりくりとしたタレ目や常に上を向いた口角は、独特な甘い雰囲気を放っていた。
 田舎臭さの抜けない純朴さを残した、かっこいい男。
 厚志の印象はそんなかんじだった。
 触れた小指をなでる。くすぐったくて、笑みが零れ落ちた。
 パシャリと顔にお湯をかけると、一気に顔が赤らんでくる。
 少しだけ、この家にいたいと思ってしまった。
 厚志と話をしてみたい。もう少しだけ、彼と時間を共有してみたい。そんな欲求が胸に込み上げてきて、お湯の中に顔をうずめる。
 ブクク、と鼻から吐いた息が、泡となって飛び出した。

 

 

「お母さん、あのね」

 お風呂を出た後、母親に電話をかけた。実由の母、玲子(れいこ)はいつもの通りの気だるそうな声で「ああ、実由」とだけつぶやいた。

「アルバイト、していい?」
「いいけど、どこで?」
「海の家」
「海って、うちから何時間かかると思ってんのよ」

 二時間、と心の中だけで返事をする。

「だからね、泊まりでアルバイトするの」
「はあ? 家出してんのに?」

 家出してるから、じゃないの? と実由は言いそうになってこらえる。母は考え方が少しずれている。だから、実由の家出だって許容してくれるのだ。

「だめ? ちゃんとしてるところだよ?」
「電話番号と、その海の家の責任者? 経営者? 誰でもいいから名前を教えて。その人と話をしてみて、大丈夫そうだったらいいわよ」
「ほんと?」
「ふらふらうろつかれるよりはマシだわ。社会勉強でもしてきなさい。あんたはいつもふわふわふわふわ。風船みたいに浮いてるだけなんだから、地に足をしっかりつけて生きることを学びなさい」

 ぴしゃりと言い放たれて、何も言えなくなる。
 地に足がついていない、ふわふわ風船のよう。実由自身だって、自分のことをそう思っていた。しっかりとした『自分』がない。すぐに人に流され、あっちへこっちへと浮つく。
 こうだ、と主張することも出来ない。情けないくらい、風まかせな生き方。

「またあとで電話するね」

 電話を切って、まだ濡れた髪にタオルを絡ませる。
 
「結局、うちで働くの?」

 鋭い声音が聞こえて、実由はびくりと肩を震わせた。
 和斗がシャツの下に手を突っ込んで腹を掻きながら立っていた。

「……だめ?」
「いいけど、さっきまでは働かないって言ってたじゃん。どういう心変わり?」

 ストレートな物言いに、戸惑う。三白眼ぎみの目がまっすぐ実由に向かってくるから、怖くて仕方ない。

「ひとっ風呂したら、は、働きたくなった」

 びくびくしながらも声を大にして叫んだら、和斗の目がまあるくなった。目をそらされたと思ったら、ブフフ、とこぼれる笑い声が聞こえてきた。

「どんな風呂の入り方だよ」
「頭までしっかり入っただけだよ」
「あ、頭までって」

 また笑いをかみ殺している。なぜそんなに笑われているのか、実由にはさっぱりわからない。

「いいんじゃねえの? 手伝うやつが多かったら、俺のやることも減るし。その分、勉強できるしな」

 つんつん尖った黒髪をなでながら、和斗は踵を返して歩いていってしまった。


***


海くん→和斗くんに変更。
なんなんだ、この名前の迷走っぷりは(笑)

 

拍手する 2008.09.20 Saturday * 00:45 | 執筆中小説 | comments(0) | trackbacks(0)
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