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拍手する 2009.11.05 Thursday * | - | - | -
* 「海の音〜」執筆経過と拍手お礼。
WEB拍手を押していただけると、拙作「モモの成敗記録」の続編が読めます。

ちょうーーー不定期で連載形式で内容を変えていきます。


「海の音、君の声」(仮)2話執筆。
さわりのみ。
感想もいただけると嬉しいです〜。(さわりだけで感想って難しいですよね笑)
第2話。


 夏といえども、海から吹いてくる風は涼しい。朝の風は潮の香りをのせて、海の家を通り抜けていく。
 実由は海側の一番端のテーブルに座り、寄せては返す波をじっと見つめていた。
 風で揺れる髪の毛を押さえると、ずしりと重みを感じる。潮風で髪の毛はすっかりごわついてしまっていた。
 厚志の持つほうきの音は、波の音と一緒になってリズミカルな音楽を奏でているかのようだった。厚志は実由をむりやり海の家に連れてくると、自分の仕事を再開させた。
 連れて来られた実由はどうしたらいいかもわからず、ぼんやりとしていることしか出来ない。
 海の家に入店した男女四人組は、いつの間にやら海に突入している。水のはねる音や、女の子の甲高い楽しそうな声が海の家まで聞こえていた。

「麦茶、飲む?」

 飲む、と答えていないのに、実由の右手の近くに麦茶の入ったコップが置かれていた。水滴のついたコップは、触れるだけで実由の体を冷やしてくれた。

「なんで家出したの」

 実由の前に厚志は腰を下ろし、その優しげな目線を実由に注ぐ。実由はその視線からはずれようと、体を右に左に動かした。なんとなく、気まずかった。

「初対面の人に、教えることじゃないし」
「ま、そうだけど」

 からからと笑って、厚志は足を崩しあぐらをかく。目の前であまりにリラックスした姿を見せる厚志に、実由はほんの少し安心感を覚えた。
 人に警戒心を与えない、優しい笑顔。目尻によった皺が、彼の優しさを物語っているようだった。

「……居場所が無い」

 ついこぼれる本音。なぜこんな素直に言葉を吐いてしまったのか、実由は慌てて自分の口を手で塞いだ。

「それが家出の理由?」

 うなずいて、そのままうつむく。もう言ってしまったことは取り返しがつかない。

「いじめ?」

 首を振る。学校内で横行するいじめだけれど、実由はラッキーなことにいじめにあったことは一度も無かった。

「親と不仲?」

 さらに首を振る。親には半分あきらめられているが、仲が悪いわけではなかった。

「彼氏と別れた?」

 首を振ろうとして、止めた。事実、実由は終業式の日に彼氏に振られていた。それが家出の理由ではなかったが、きっかけではあった。

「何日間、家に帰ってないの?」

 指を三本立ててみせた。厚志は「やっぱり」と苦笑いを浮かべて、ごろりと寝転がった。

「どうすんの? 親に連絡はした?」
「したから、平気」

 家出したとはいえ、実由は律儀な性格だった。親に言われたとおり、毎日連絡をしている。ある意味、親公認の家出なのだ。

「それって、家出じゃなくね?」

 声を立てて笑う厚志のくしゃくしゃになった顔が、実由にはまぶしく見えた。ちょうど、朝日が彼の顔に当たっているせいかもしれなかったけど。

「麦茶飲んだら、家に帰りな。駅まで送ってやるから」
「嫌。帰らない」

 家に帰らなければならない――そう思ったら、急に喉がぐっと痛くなった。帰りたくないと、理由も無いわがままが支配して、てこでも動かない。

「帰らないって、じゃあ、どうすんの?」

 再びのそりと起き上がった厚志の体から、畳に残った砂が舞い落ちる。朝日に当たって輝いて、実由は少しめまいに似た感覚を覚えた。光の粒が、彼の体から落ちているみたいだった。

「ホームレスになる」


******

さわりだけ載せてくってことは、飛び飛びで読んでもらうことになるんですよね(^^;
話の内容がつかめない上に、わけがわからないことになりそうだけど、ま、いっか。

名前変更。敦志→厚志
字面的に、厚志のが好みだったので、変えました。
拍手する 2008.07.17 Thursday * 02:22 | 執筆中小説 | comments(0) | trackbacks(0)
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拍手する 2009.11.05 Thursday * 02:22 | - | - | -
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